Q246:不動産投資と税金 減価償却のワナ デットクロス
一般的回答
デットクロスとは
デットクロス(Debt Cross)とは、不動産投資において減価償却による節税効果が薄れたタイミングで、ローン返済額(特に元金返済分)がキャッシュフローを圧迫する現象を指します。
つまり、「節税が効かなくなったのに、ローンの支払いは続く」という状態です。
表面上は黒字経営でも、実質的な手残りが減る=キャッシュフローが悪化するため、投資家にとって大きな落とし穴となります。
デットクロスが起こる仕組み
- 減価償却の終了
建物の耐用年数に基づいて毎年経費計上できる減価償却が終了すると、経費が減るため課税所得が増えます。 - 税負担が増加
経費が減った分、所得税・住民税の負担が上がります。 - 元金返済の増加
不動産ローンは返済が進むほど「元金部分の割合」が増加し、キャッシュアウト(実際に出ていく現金)は変わらないのに、経費として認められない部分が増えていきます。
結果として、利益は増えているように見えるのに、手元に残る現金は減るという逆転現象が起こります。
これがまさに「デットクロス」です。
デットクロスが起こる典型的なケース

具体例
仮にRC造(耐用年数47年)の建物を購入し、減価償却期間を47年で設定したとします。
- 建物価格:6,000万円
- 年間減価償却費:6,000万円 × 0.022 ≒ 132万円/年
- 家賃収入:600万円/年
- ローン返済額:400万円/年
減価償却期間中は、132万円が経費計上できるため、課税所得は抑えられます。
しかし47年後に減価償却が終了すると、132万円分の経費が消え、所得税が跳ね上がります。
一方でローン返済は続くため、手残りは減り「帳簿上黒字・実質赤字」の状態に陥ることもあります。
デットクロスを避けるための対策
- 出口戦略を持つ
- 減価償却が終わる前に、売却や建替えで再投資する。
- 売却益を次の物件の頭金に回すことで、資産を循環させる。
- 法人化で節税継続
- 法人で保有すれば、経費の幅が広がり、役員報酬などで課税所得をコントロールできる。
- 修繕費や資本的支出を活用
- 計画的に修繕を行い、資本的支出として新たに減価償却資産を作る。
- これにより、新たな償却費を計上できる。
- 減価償却期間を分散する
- 複数の物件を異なるタイミングで取得することで、減価償却の波を均す。
- 資金繰りの見える化
- 税金の増加を想定して、あらかじめキャッシュを確保する。
- 「利益が出ても現金が減る」時期を前もって想定しておくことが大切。
まとめ
デットクロスとは、
減価償却が終わり、節税が効かなくなった瞬間に、
キャッシュフローが苦しくなる現象
であり、長期保有型の投資家が最も注意すべきタイミングです。
- 減価償却は節税の味方でありながら、終わり方を誤るとリスクにもなる。
- 解決策は、「売却」「法人化」「再投資」「修繕計画」でタイミングをずらすこと。
つまり、減価償却は「武器」であり「落とし穴」でもあります。
節税の恩恵を受けつつ、終わり方をデザインできる投資家こそ、本当の意味での経営者型オーナーといえるでしょう。
新築RC不動産の考え方
A:節税できる支出よりも節税できない支出が増えてしまう現象をデットクロスと呼びます。
節税できる支出1 : 減価償却
固都税などの毎年かかる税金や管理費、修繕費、募集の時のADも経費として売上げと相殺することができます。でも一般的な不動産賃貸業において一番大きい経費として減価償却があります。
ところが減価償却には計上できる年数が決まっています
木 造:22年
軽量鉄骨:19年
重量鉄骨:34年
R C:47年
この年数を超えてそれでも保有している不動産では
決算で減価償却費が計上できなくなるので
その分利益が大きくなります
節税できる支出2 : 利息
原価償却の次に大きなウェイトを占める経費が
金融機関に支払う利息です
ただ利息の場合は注意が必要で
融資を引く際に
元利均等返済にしていると
返済の最初は元金に比べて利息の割合が多くなりますが
徐々に元金の割合が増えて行きます

利息が減る = 計上できる経費が少なくなるというわけです
節税できない支出 : 元金
同じ税金でも、所得税や住民税、均等割り等は経費として
計上できないものです。
ですが一番ウェイトが大きいのは
融資返済の元金となります
上でもお伝えしましたが
融資の返済方法が元利均等の場合
支払う金額はずーっと同じでも
その内訳である
利息と元金のバランスが変わります
元金は年月とともに増えるので
節税できない支出が徐々に増えてくるとなります
つまり
購入してすぐの頃

これが徐々に

利息が減り、元金が増えます

ここに減価償却も無くなると、、、

こんなイメージです
この考えを元に売却時期を決めることがあるますが
そこはまた出口戦略のときに
どうせ支出をするならお得な時に





