Q249:不動産投資と税金 個人と法人 税率の違い
一般的回答
基本の考え方
不動産投資において「個人」と「法人」では、課税方式そのものが異なります。
同じ利益を得ても、税率の構造が違うため、手取り額や再投資スピードに大きな差が生まれます。
① 個人の税率(累進課税)
個人の不動産所得は、他の所得(給与・事業所得など)と合算されて課税される「累進課税方式」です。
所得が多くなるほど、税率が段階的に上がっていきます。

ポイント
- 所得が増えるほど税率が上がる「累進課税の壁」がある。
- 給与所得者が不動産所得を持つと、合算課税により一気に税率が上がる。
- ただし、初期段階で不動産所得が赤字なら、給与所得と損益通算できる(節税効果あり)。
② 法人の税率(フラット課税)
法人は、利益に対して法人税+地方法人税+住民税+事業税が課されます。
中小企業(資本金1億円以下)の場合は以下のようになります。

ポイント
- 法人は利益が増えても税率が一定(=フラット税制)。
- 役員報酬を支払うことで法人利益を調整でき、実効税率を下げやすい。
- 利益を法人内に「内部留保」できるため、再投資がしやすい。
③ 税負担の比較シミュレーション

※法人は役員報酬を支給すれば更に課税所得を減らせるため、実際は差がより大きくなります。
④ 税率以外での重要な違い

⑤ 結論
不動産投資における税率の違いを一言でまとめると、
個人は「手軽でスタート向き」、法人は「税率を味方につけて拡大できる」
特に、
- 年間利益が1,000万円を超える
- 不動産を複数棟保有する
- 将来の相続や法人承継を視野に入れている
このような投資家は、法人化を検討する価値があります。
税率のコントロールは、**「投資規模を広げるための戦略的武器」**です。
税金をただ払うのではなく、「設計する」意識を持つことで、次の1棟につながる余力を残すことができます。
新築RC不動産の考え方
A:よく個人と法人でどちらで事業をすべき?なんて話題が出ます。俗に800万を境に法人が有利なんて言われるのは何を比較している話でしょうか?
個人とはつまり所得税、法人では法人税の税率を比較している話です。別の税率を比較しているという点は押さえておくべきポイントです。ちなみに両社とも累進課税になっているので所得が増えれば増えるだけ税率が上がっていく仕組みになっており、性質が近いため比較されています。

こんな感じで800万を境目に個人のほうが税率が高くなるため、ここをラインに法人にすべきという意見が出ます。
ではこの比較だけで個人か法人かを選択すればよいのでしょうか?
次はもう少し詳細を比較していきます
事実所得800万以下でも法人を立てる人が多いのはなぜ?





