Q57:不動産投資を「法人」でやる理由①利益を上げつつ税金を増やさない

A:利益がでる不動産投資では何も対策をしないと必ず税金がかかります。個人で不動産を購入すると、今の個人としての収入に家賃収入が合算されてしまいます。少し細かい話をすると、家賃収入はそこから金融機関への金利の支払い分(元金の返済分はダメ)と管理費、減価償却費などが経費として引くことができるので、実際の合算される量は減ります。それでも所得が増える分税率は上がりますので、支払う税金も増えてしまいます。
よく議論になる売上900万以上から法人化については個人と法人で900万以上での税率が逆転することに由来していると思います。個人の実効税率が900万を境に43%になるのに対して法人は33%と法人のほうが安くなる。という議論です。でもこれは個人の所得と不動産の賃料収入を合算する考えが抜け落ちています。例えば個人での収入が550万で不動産投資で350万の利益があるとします。不動産を個人でやっていると900万 =550万+350万となって実行税率は43%です。一方法人で不動産をやっていれば利益350万のみで実効税率は20%となります。
あと、節税対策で利益の出ない赤字の不動産を個人で買って、個人の所得と合算させて減らすという話もあります。新築ワンルーム投資がその典型ですが、これは100%無いです。もしそんな勧誘があったら「この不動産を売る時にこれまでの赤字を黒字化できるだけの価格で売れる見通し」を検討してみてください。何十年も先のワンルームマンションの価格を予測するのは現実問題無理です。それは投資では無く、もちろん保険の代わりでも無く、ギャンブルです。
利益の出ない不動産はやってはいけない。
利益を出すなら法人のほうが税金は安くできる
アップデート情報 2023年12月
法人税の税率は、個人の所得税率と比較して一般的に低く設定されています。個人で不動産投資を行う場合、所得が増えるにつれて進行的課税により税率が高くなります。しかし、法人の場合、所得に対する税率が一定であり、利益が大きくなってもその割合は変わらないのです。
次に、法人化することで、経費として計上できる項目が増えます。たとえば、事務所の賃貸料、役員報酬、交通費、接待費など、個人では認められない経費も法人ならば業務に必要な経費として計上できます。これにより、税金を支払う前の利益(課税所得)を減らすことが可能になります。
また、不動産投資においては減価償却費という重要な要素があります。法人は不動産の減価償却を経費として計上でき、これにより課税所得をさらに抑えることができます。個人でも減価償却は可能ですが、法人の方が計算方法や扱い方で有利なケースが多々あります。
さらに、法人は税金の繰延べが可能です。例えば、売却によるキャピタルゲインが発生した場合、法人ではその利益を再投資に利用し税金の支払いを後回しにできることがあります。個人ではこのような柔軟な税金対策は難しいのです。
結論
低い法人税率、経費の計上範囲の拡大、減価償却費の活用、税金の繰延べなど
法人ならではの節税できる武器が多い